何の用だい? 乳しぼり。
何かあったの?
~回想~
近々お前を迎えにいくぞ。
ほら、牛舎に戻るわよ。
目次
ミートショックの真実
ミートショックの原因
1.生産量の減少
アメリカでは、近年の干ばつが深刻な問題となっており、牛の飼育頭数が減少しています。干ばつによる水資源の不足が牧草地の枯渇を招き、結果として飼える牛の頭数が減っているのです。
また、飼料となるトウモロコシや大豆の価格が急騰していることも当問題に拍車をかけています。さらに、気候変動による異常気象が生産環境を悪化させています。
2.円安の影響
円安が進むと、輸入牛肉の価格が大幅に上がります。
特に日本では、輸入牛肉に頼る割合が高いため、円安の影響がすぐに消費者価格に反映されます。
例えば、円安が1ドル110円から130円に進行するだけで、輸入コストが20%も上昇します。この影響は、牛肉に限らず、他の輸入食品全般に及びます。
3.原油価格の上昇
原油価格が上がると、輸送コストも増加します。特に、日本に輸入される牛肉は長距離を輸送されるため、燃料費の上昇の影響を受けやすいです。
また、原油価格の上昇は包装材料や冷蔵設備のコストにも影響します。これにより、最終的な消費者価格がさらに押し上げられます。原油価格は世界の経済状況や地政学的リスクに左右されやすく、予測が難しいのも問題です
価格上昇の具体例(一部予測を含む)
以下のグラフは、米国産冷凍バラ肉と米国産冷凍牛タンの2020年から2024年までの価格推移を示しています(2023年と2024年は予測値を含む)。
- 米国産冷凍バラ肉
- 2020年:1キロ667円
- 2021年:1キロ800円(20%上昇)
- 2022年1月:1キロ1,047円(57%上昇)
- 2023年(予測):1キロ1,150円(10%上昇)
- 2024年(予測):1キロ1,200円(4%上昇)
- 米国産冷凍牛タン
- 2020年:1キロ1,626円
- 2021年:1キロ1,900円(17%上昇)
- 2022年1月:1キロ2,698円(66%上昇)
- 2023年(予測):1キロ2,850円(5%上昇)
- 2024年(予測):1キロ3,000円(5%上昇)
飲食業界への影響
大手牛丼チェーンの価格改定
- 松屋:牛めし並 320円→380円
- 吉野家:牛丼並盛り 387円→426円
- すき家:牛丼並盛り 350円→400円
食べ放題店への打撃
仕入れ価格の上昇
食べ放題店は、一定の価格で大量の食材を提供するビジネスモデルのため、牛肉価格の上昇は大きな打撃となります。
特に、安価で高品質な肉を提供することが売りの店舗では、利益率が大幅に低下しています。
代替肉の使用
一部の食べ放題店では、コストを抑えるためにオーストラリアやカナダ、メキシコ産の牛肉を使用するようになりました。これにより、味や品質に変化が生じる可能性があり、顧客満足度に影響を与えることが懸念されています。
さらに、一部の店舗では豚肉や鶏肉のメニューを充実させ、牛肉以外の選択肢を提供することで対応しています。
焼き肉店の対応
メニュー開発
焼き肉店では、原価率を抑えるために新しいメニューの開発に力を入れています。例えば、牛タンの切れ端を使った新メニューや、安価な部位を活用した料理などが人気を集めています。
プロモーション戦略
多くの焼き肉店は、価格上昇を補うために積極的なプロモーション戦略を展開しています。割引クーポンや会員限定の特典を提供することで、リピーターの確保と新規顧客の獲得を目指しています。
今後の見通し
価格高止まりの可能性
2024年までに牛の飼育頭数が回復する見込みは少なく、干ばつや気候変動の影響が続くため、牛肉価格の高止まりが予想されます。
新たな輸入規制や関税の導入も検討されており、これがさらに価格に影響を与える可能性があります。
他の食材への影響
牛肉価格の上昇は豚肉や鶏肉にも波及し、これらの価格も上昇しています。消費者が代替肉を選ぶため需要が増加し、供給が追いつかない状況です。
さらに、飼料の価格上昇が他の食材の価格にも影響を及ぼしています。
代替タンパク質への注目
植物性代替肉や培養肉の開発が進んでいます。これらの代替タンパク質は環境に優しく、味や食感も改善されてきています。
政府や企業の投資により、新しい食品技術が次々と誕生し、将来的には食料供給の安定化が期待されています。
まとめ
ミートショックは、ただ牛肉の価格が上がるだけでなく、食品業界全体に大きな影響を与えています。
私たちの食生活や飲食店の経営にも変化が見られ、新しい食品技術の開発が進んでいます。これからも国際情勢や気候変動の影響を受けつつ、食料供給の安定化と代替タンパク質の開発がますます重要になってくるでしょう。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。